50代は転職と起業どちらが有利か?
2021/9/28
会社が早期退職を募集しているなど、今のままでは将来性を感じられないという50代の男性・女性が増えています。
人生100年時代と言われるようになり、今の会社に留まるか、転職するか、あるいは起業するかの判断が求められる世代ですので、人生の難しい岐路に差し掛かっているともいえます。
この記事では、50代の働き方について転職と起業の2面で考えていきたいと思います。
Contents
50代の転職・起業事情
50代の方の転職・起業の現状はどうなっているのでしょうか。
スタートアップ企業への転職
50代の転職となると、どうしても選択肢が限られてしまうのが現実です。
年齢による採用制限は禁止されていますが、会社の雰囲気や年齢層を考え書類選考する時点ではねられてしまう可能性が高いためです。
平成29年の厚生労働省による調査では、50代男女の転職成功率は3~5%という結果でした。
一方で、50代の経験を活かしたいというスタートアップ企業での募集も存在します。
管理職の経験などスタートアップ企業に必要とされるスキルがあれば50代の転職は可能です。
ただ、マッチングと待遇の面での苦戦が予想されます。
現在のご自身のスキルがスタートアップ企業に求められているのであれば転職が可能ですが、あまり需要のないスキル、特殊なスキルの場合、50代の転職はかなり厳しいものになります。
なお、正社員ではなく派遣社員として働く方法を選択すれば、転職は若干容易になりますが、給与や雇用期間を十分に考える必要があります。
脱サラしての独立開業は失敗の可能性が高い
転職が難しいとなると、脱サラして独立開業・起業を考えるかと思いますが、失敗する可能性が高いです。
さまざまな理由がありますが、雇用されて働くのと起業とでは、考え方や使う言葉などが大きく異なることがあげられます。
例えば「残業」で考えてみますと、起業されている方は自分がするものとは捉えておらず別世界のことだと感じています。「休日」ならば、いつでも自由に休日は取れるもの。有給休暇は羨ましいという感覚です。
また、自分の得意なことだけをして、苦手なことは全部任せるというのも起業家の特徴とされています。
会社員と独立開業では社会的信用も違う
会社員、役員も含めて会社に所属している方はお勤めの会社の信用があるので、銀行から資金を借りやすいです。ただ独立開業したばかりは、銀行からの信頼は得られません。事業資金として100万円銀行から借りるのも、簡単にはいきません。
社会的信用のギャップで、独立開業したけれども失敗してしまう方もいらっしゃいます。
独立開業したら、銀行とコツコツ取引を重ねて信用を積み重ねていくしか方法はありません。
なお、独立開業を支援している自治体や商工会議所などを通すと、開業資金などの借り入れが比較的スムーズにいくことが多いです。お住まいの地域の開業支援について調べておくことをおすすめします。
現在の職種が自営業に向いているのなら、起業OK
現在の職種やスキルが自営業としても向いているのなら、取引先を確保して起業することも可能です。
例えば、運送業であれば、コロナの影響もあり通販の社会的ニーズが多いのに人材が少ないため、起業しても成功しやすいといえます。逆にアパレルは業界として厳しくなっており、起業してもかなり厳しい戦いが予想されます。
ただし実際に起業してみたら、予想よりも取引先からの引き合いが少なかったというケースも聞こえてきます。また、社会情勢が大きく変化し、需要が激減してしまう可能性もあります。
複数の取引先を確保しておくことはもちろんのこと、リスク管理も忘れずに行いましょう。
スキルのある人材を雇って起業
スキルのある人材を雇って起業する方法もあるのですが資金的なリスクが伴うので、潤沢な資金が準備できない限りおすすめできません。
また、複数人で起業して上手くいくケースは少ないといわれており、多くの起業家は1人で起業しています。「船頭多くして船山に登る」ということわざのように、事業の方向性が定まらず紆余曲折している間に資金が底をついてしまうからです。
フランチャイズのメリットとデメリット
フランチャイズのメリットは、多くの方が事業に成功できており、成功のノウハウが構築されている点です。
デメリットは、始めるのに登録費など多額の資金が必要になることが多く資金面で苦労してしまうこと、週末起業のように小さく始めることができない(テストできない)ことが多い点があげられます。
50代が起業で成功するには?
50代で起業を成功させるには、どうしたらいいでしょうか。
一例をご紹介します。
成功させるにはプチ起業や副業で事業をテスト
起業して成功しようとするのであれば、まずご自身のしてみたいことで、小さく起業することをおすすめします。大きなプロジェクトを成功させるためにテストをするように、事業内容を副業としてテストするのです。
会社員であれば、副業として週末起業(プチ起業)をして事業が回るか確認しましょう。もし事業が回らないのであれば撤退です。失敗したとしても会社員としての収入がありますので、生活費が稼げなくて困ってしまうことはありません。
ただし、副業として向かない業種(週末だけで完了できないなど)もあり、テストできない場合もありますが、何らかのテストをしてから独立されることをおすすめします。
次に個人事業として始める
事業が上手く回れば、自然と事業は大きくなります。副業の仕事が忙しくなって安定してきたら会社を退職して副業を本業にするのがおすすめです。
税金対策になりますが、年間で20万円以上の利益が確保できたのなら、開業届を税務署等に提出して個人事業主となるようにしましょう。会社員でも個人事業主になることができます。
また、副業が成功すると自然と気持ちにも余裕が出てきますので、会社員として仕事を続けながら副業もしていく方向に切り替える方もいらっしゃいます。
50代起業の成功例
次に、50代で起業して成功した事例についてご紹介いたします。
輸入代理店
海外との折衝スキルを持っていた方が、輸入代理店として独立。ある商材の需要が一気に増えたため、引き合いが多くなり成功しました。
たまたま扱っていた商材の需要が増えたために成功したのですが、同じ輸入代理店でも失敗する事例もあることから、今まで培ったスキル、先見の明、運で成功したといえるでしょう。
ただし、ネットショップが身近になった現在、海外から直接顧客にアプローチすることが可能になったため、これから先は付加価値を付けていかなければ難しくなるだろうとおっしゃっていました。
結婚相談所
50代で人生経験の豊富で数多くの方を見てきたからこそ成功できる業種である結婚相談所で独立された方がいらっしゃいます。
ご存知のように少子高齢化が進み、20代になっても男女交際の経験が無い方が増えていることもあり、結婚のお相手を探したい需要に乗ることができ成功しました。
また50代の専業主婦の方が成功した事例もあり、妻は専業で夫は副業で結婚相談所を営むことも可能です。
なお結婚相談所は将来も需要があると見込まれますが、思わぬところでつまずいてしまう可能性がありますのでご注意ください。
転職も独立も続けるのもリスクがある
50代で今のままの仕事を続ける、転職する、独立する それぞれにリスクがあります。
まずはご自身の状況を把握し、どのリスクを背負えるのか背負えないのかの判断をし、人生を選んでいただけたらと思います。
恐らく一番リスクが抑えられるのは、副業で起業し会社員としても働き続けることになるかと思われます。
ぜひ、さまざまな視点から検討してみてください。